【2023年下半期】今年7月〜12月の主要ニュースを振り返る

【中古車販売大手】ビックモーターの保険金不正請求が発覚

ビッグモーターの従業員が車を故意に傷つけ修理代を水増しし、保険会社から保険金を不正に請求していた問題。調査の結果、去年11月以降に保険金を請求した8427件の修理のうち1275件、全体の15%で不正な保険金請求があったと認定した（7月時点）。

過剰なノルマ主義や、それに伴う懲罰的な降格人事が不祥事の原因として挙げられた。謝罪会見では兼重かねしげ社長が辞任を発表した。9月には同業他社のネクステージ社でも同様の不祥事が発覚。ビッグモーター出身の浜脇浩次社長が辞任に追い込まれた。

【梅雨】日本各地で大雨続く

九州地方や東北地方で記録的大雨。24時間あたりの降雨量が200ミリを超える地域が続出した。梅雨前線の長期停滞、および線状降水帯による集中豪雨により被害が拡大した。お隣・韓国でも大雨。中部都市・清州ちょんじゅ市では路線バスが水没して乗客13人が亡くなる事故も。

【社会】電動キックボードの走行ルール緩和

道路交通法改正に伴い、電動キックボードに新たな車両区分「特定小型原付」を適用。16歳以上の人であれば運転免許なしで公道走行できる。最高速度は20kmに制限される。

ただ、早くも電動キックボードによる事故が目立つように。8月時点で電動キックボードの事故数は2022年の年間41件を上回り48件に。信号無視や酒気帯び運転による摘発は9月時点で400件超と増加傾向に。

【北海道すすきの】ホテルに切断遺体、家族3人を殺人容疑で逮捕

頭部のない男性の遺体がホテルで見つかった事件。男性と面識あった20代女性、およびその両親が殺人容疑で逮捕された。いびつな親子関係に起因した殺人事件とみられており、半年にわたる鑑定留置（精神鑑定留置）が行われる異例の事態に。

【男子バレーボール】日本代表が国際大会で46年ぶりメダル獲得

国際大会「ネーションズリーグ」で日本初の銅メダルを獲得。男子バレー日本代表が国際大会でメダルを獲得したのは1977年のW杯以来46年ぶり。

予選ラウンドでは10連勝と破竹の勢い。準決勝で世界ランキング1位のポーランドに破れたものの、3位決定戦では世界ランキング3位のイタリアに勝利した（日本は同ランキング6位）。

【芸能】新しい学校のリーダーズ『オトナブルー』が流行

4人組ダンス・ボーカルグループ「新しい学校のリーダーズ」。『オトナブルー』がヒット。TikTok上半期トレンド大賞2023では『オトナブルー』が大賞を獲得した。地上波テレビでも取り上げられる機会が増え、勢いそのままにNHK紅白歌合戦の初出場も決めた。

【夏】日本全国で平年よりも猛暑に

日本全国で平年よりも2度近く高温に。東京都心部では観測史上初となる31日連続の真夏日を記録した。気象庁は特に北日本エリアの猛暑に関して「異常気象」との見方示した。海面水温が記録的に高く、大気が冷えずに猛暑となった可能性を指摘。

国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化が終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と述べるなど世界規模でも同様の猛暑傾向が見られた。

【福島原発】処理水の海洋放出を開始、中国から連日の抗議電話

次30年かけて貯まった処理水を薄めて海洋放出する。かねてより海洋放出に反対していた中国政府は、海洋放出が始まった対抗措置として日本産水産物の全面禁輸を発表した。福島県や宮城県の飲食店などに対しては中国から（中国ナンバーから）発信される抗議電話・迷惑電話が続いた。

7月にはIAEA（国際原子力機関）が処理水放出に関する調査結果を公表。処理水の海洋放出は国際的な安全基準に合致しており、海洋放出により人や環境に与える影響は「無視できる程度」とお墨付きを与えていた。

ガソリンの小売価格が過去最高値を更新

レギュラーガソリンの小売価格は全国平均で1リットルあたり185.6円に（8月28日時点）。2008年以来15年ぶりに過去最高値を更新した。世界的なエネルギー価格の高騰（再高騰）にくわえ、政府のガソリン補助金が縮小したのが響いた。

日本大学アメフト部で大麻事件が発覚

日本大学アメフト部の男子学生が大麻取締法違反の疑いで逮捕された事件。部として昨年時点で問題を把握していたものの、大学上層部による問題の隠蔽と見られる行為が多々あった。

今年7月になって大麻に関する匿名の通報電話が警視庁にあり、警視庁が学生寮を家宅捜索。問題が発覚した。12月時点でアメフト部を廃止が決まった。

【夏の甲子園】慶応高校（神奈川県）が107年ぶり2度目の優勝

仙台育英高校（宮城県）を8-2で下した。慶応高校の夏の甲子園優勝は1916年に開催された第2回大会以来107年ぶり。

今年の慶応高校は丸刈り（坊主頭）ルールを廃止した自由な髪型の野球部として注目。”美白王子”として各種メディアで取り上げられた丸田湊斗みなと選手は野球部とは思えぬ肌の白さで時の人に。

【男子バスケ】日本代表がW杯で欧州勢に初勝利、河村勇輝が活躍

バスケットボール男子W杯の1次ラウンドでフィンランドと対戦。98-88で勝利した。第3クオーター終了時点では18点差で負けていたが、第4クオーター（最終クオーター）で逆転勝利した。日本代表がW杯で欧州勢に勝利したのは史上初。若手選手の河村勇輝（22歳）が25得点9アシスト決めて活躍した。

【ジブリ】宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』の興行収入が80億円突破

宮崎駿監督の10年ぶり新作映画『君たちはどう生きるか』。CM一つ打たない異色のマーケティング戦略で話題に。興行収入80億円（11月時点）を超える大ヒット記録した。12月には北米でも公開開始。北米全体の映画興行ランキングで初登場1位を記録する偉業成し遂げた。

【ジャニーズ事務所】ジャニー喜多川元社長の性加害を認定

今年3月のBBC報道から始まったジャニー喜多川元社長の性加害スキャンダル。8月末にジャニーズ事務所が調査結果を公表。ジャニー喜多川元社長の性加害を認めた。約40年にわたり自社タレントに性加害を加えていた。藤島ジュリー景子社長は辞任を発表した。

日本版DBS法案、臨時国会への提出見送り

日本版DBSとは、学校や保育所など子どもと接触する職業の就労希望者の性犯罪歴の有無を雇用主が確認できる制度。子どもの性被害を防ぐのが目的。イギリスで運用される同制度の日本版として検討される。

法案の素案では、学校、保育所、児童養護施設の就労者のみ性犯罪歴の確認義務対象としており、各界から要望あった学習塾やスイミングスクール、芸能関係（芸能事務所など）は対象外に。法律の実効性を疑問視する声があった。

東芝が上場廃止、国内ファンドが2兆円で買収

2015年に発覚した不適切会計問題から経営危機に陥った国産電機メーカー大手・東芝。一時は海外ファンドによる買収の噂もあったが、半導体や原発など日本の経済安全保障に相当する事業を有するとあり、官民入り乱れての買収＆買収防衛が目下で展開された。最終的に国内ファンドが買収。2兆円の買収資金は国内の大手企業20社ほどが合同で出資する。

【米国】ハリウッドで半年続いた大規模ストライキが終結、「AIコンテンツは著作物にあらず」

賃上げ要求ほか、AI使った脚本執筆ルールめぐり全米脚本家組合が大規模ストライキを敢行。ディズニーやNetflixなど相手取った。目下の争点だったAI使用ルールに関しては「AIが生成した脚本は著作物にならない」との見解で一致。一方で脚本家が認めた場合のみ、AI使った脚本修正など部分的に認める方向で落ち着いた。

【米国】日本発ダンスグループ「アバンギャルディ」が米大手オーディション番組で決勝進出

米テレビ局の公開オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に日本発ダンスグループ「アバンギャルディ」が出演。優勝こそ逃したものの日本関係者では10年ぶりとなる決勝進出で注目を集めた。

「アバンギャルディ」は大阪を拠点に活動するダンスグループ。大阪府立登美丘高校ダンス部『バブリーダンス』を手がけた振付師・akaneがプロデュースしたことで知られる。

【中東】イスラエルとハマスが軍事衝突

パレスチナ自治政府のガザ地区を拠点にする武装組織「ハマス」がイスラエル側にミサイル攻撃。これにイスラエル軍が反撃。戦闘が拡大した。11月に一時休戦したものの12月に戦闘再開。死者は1万人超え（12月時点）。第4次中東戦争（1973年）以降で最悪規模の被害に。

【性加害問題】ジャニーズ事務所が社名変更、廃業へ、

ジャニーズ事務所が今後の方針を発表。社名を「SMILE-UP.スマイルアップ」に変更。ジャニー喜多川元社長の性加害問題の補償会社として当面存続させ、補償が終了したあとに廃業する。”ジャニーズ”の社名を残すことへの反対意見が多々あった。所属タレントに関しては芸能マネージメントを目的にした新会社に移籍する。

【マスメディアの沈黙】ジャニーズ報道めぐりマスコミ各社が調査結果を公表

ジャニー喜多川元社長の40年にわたる性加害をまん延させた（問題の発覚を遅らせた）原因の一つとして挙げられた「マスメディアの沈黙」。NHKとテレビ朝日を除くテレビ各社がジャニーズ事務所との関係など調査し公表した。

ジャニー喜多川氏の性加害を認めた2004年の高裁判決を報じなかった理由については、各社ともに「週刊誌ゴシップと軽視」「男性間の性加害に対する問題認識の欠落」など挙げた。ジャニーズ事務所に対する忖度は否定。また、ジャニーズ事務所からの報道圧力も否定した。

旧統一教会の解散命令を東京地裁に請求、政府

10月13日付で東京地裁に解散命令を請求した。今後、政府が提出した証拠資料を東京地裁が精査。解散命令が認められた場合、旧統一教会は宗教法人格を喪失する（法人ではなく一団体に格下げされる）。

霊感商法などで多額の献金を要求する民法上の不法行為を約50年間、継続的かつ組織的に行っていた疑い。被害額は204億円と算出した。

訪日観光客がコロナ前水準に戻る、政府は「観光公害」対策に着手

コロナ明け、および円安効果が相まり、月200万人台の観光客数を記録。ほぼコロナ前の2019年水準に戻った。

同時に観光地の混雑や地域住民の生活インフラへの影響など「観光公害」（オーバーツーリズム）が目立つように。政府は鉄道料金の変動値上げ（普通列車料金の変動値上げ）や自然観光地の入域規制など対策する方針を示した。

【MLB】大谷翔平が日本人初のホームラン王に輝く

エンゼルスの大谷翔平がア・リーグのホームラン王に。レギュラーシーズンに44本のホームラン。日本人選手、またアジア出身選手がメジャーリーグでホームラン王を獲得したのは史上初。

【将棋】藤井聡太七冠が史上初の「八冠」達成

日本将棋界の8大タイトルの1つ「王座」を獲得。将棋界で史上初となる8大タイトル独占を達成した。天才棋士として知られた羽生善治会長も「七冠」記録が最多だった。藤井聡太八冠は現在21歳。2016年に史上最年少となる14歳でプロ入りした。

袴田事件の再審始まる、検察は有罪の立証意向

袴田事件（1966年）で死刑判決を受けた袴田巌さん（87歳）の再審の初公判。袴田巌さん側は無罪主張。検察側は有罪を主張した。

先の再審請求裁判では、死刑判決の証拠となった血痕のついた衣類について、検察が証拠を捏造した可能性を裁判所が指摘していた。再審でも証拠の事実性が争点になるとみられる。

岸田政権の内閣支持率が過去最低水準に

主要マスコミの世論調査で支持率が20%台に突入。不支持率は50%を超えた。物価高対策への不満、来年予定する新経済対策（所得減税）への不満が目立った。また、9月の内閣改造後に政務三役の不祥事辞任が続いたのも響いた。

宝塚歌劇団の現役団員が死亡、劇団側はいじめ否定する調査結果

20代の現役団員が自殺したとみられる問題。団員の遺族が劇団に対して謝罪を要求。長時間労働や上級生によるいじめ行為を劇団が放置していたと主張した。

宝塚歌劇団は調査結果を公表。長時間労働は認めたが、上級生によるいじめ行為は認定せず。2023年12月時点で進展なく平行線まま。

私人逮捕系YouTuberが相次ぎ逮捕される

今年夏ごろからSNS上で注目を集めていた（悪目立ちしていた）私人逮捕系YouTuber。盗撮犯や転売ヤーを追いかける動画を公開していた。11月に入り関係するYouTuberらの逮捕続く。

”煉獄コロアキ”名義で活動していた男は転売ヤーとして追い回した女性に対する名誉毀損で、“中島蓮”名義で活動していた男は嘘のネット書き込みで覚せい剤を所持させた（教唆）疑いで逮捕された。

【野球】阪神タイガースが38年ぶり日本一

38年ぶりリーグ優勝にくわえ、38年ぶりクライマックスシリーズ優勝も決めた。阪神タイガースの日本一は球団史上2度目。大阪・道頓堀にはファン集結。警官1300人が警戒にあたった。12月に発表された今年の流行語では阪神が優勝の隠語として用いた「アレ」が年間大賞に輝いた。

羽生結弦が結婚3ヶ月目での離婚発表

羽生結弦は今年8月に一般人と結婚。結婚相手の情報は伏せていたが、週刊誌などで結婚相手についての報道加熱。ネット上では誹謗中傷もあった。現状のまま結婚生活を続けるのは難しいとして結婚3ヶ月目での離婚を発表した。

東北地方でクマ被害が多発、2006年以降で過去最多

4月〜11月末時点で全国で212人がクマ被害に遭遇（環境省調べ）。年次あたりの被害者数としては同統計データのある2006年以降で過去最多に。被害の多くは東北地方、うち秋田県と岩手県に集中。秋田県では被害者数が70人を超えた。

行政によるクマ駆除に対するクレーム電話も増加。秋田県の佐竹知事は、国に対してクマ駆除の理解が得られるよう対策してほしいと訴え（関連記事）。

ホストクラブ高額請求問題、政府レベルで対策へ

ホストクラブ従業員による違法行為の取り締まりなど政府レベルで対策を強化する。10代〜20代の女性客がホストクラブ通いで高額な借金を作り、借金の返済がてらホストクラブ従業員から売春をあっせんされるなど問題行為がたびたび報じられていた。

新宿・歌舞伎町のホストクラブ団体は、来年4月をめどに「ツケ払い」こと売掛金制度を廃止すると表明した。売掛金制度はホストクラブ独自の制度で支払い料金の高額化につながっていると批判あった。

岸田政権の内閣支持率が過去最低水準に（続）

先月に続き支持率の下落止まらず。主要マスコミの世論調査で支持率が20%台前半、毎日新聞の世論調査では支持率17%と自民党の政権復帰後（2012年12月以降）で初の支持率1割台に落ち込んだ。

「安倍派」議員のキックバック問題が発覚。松野官房長官や西村経産相ら「安倍派」議員が役職辞任に追い込まれた。また、柿沢未途・前法務副大臣が公選法違反で逮捕されるなど自民党関連のトラブル続く。

【自動車】ダイハツ工業が国内外向けの全車種の出荷停止、検査不正が発覚

第三者委員会の調査の結果、25の試験項目で174件の検査不正が見つかった。確認できた最も古いもので1989年から検査不正を行っていた。経営幹部によるプレッシャー、短期間での車両開発を現場社員に求める企業カルチャーが不祥事の原因とされる。

【MLB】大谷翔平が契約金1000億円でドジャース入り

大谷翔平の来季からの所属チームがドジャースに決定。契約金は10年総額1015億円（7億米ドル）。MLBの契約金としては歴代1位。また、他のスポーツを含めた米国プロ・スポーツの契約金としても歴代1位。

また、オリックスの山本由伸のドジャース移籍も決定。契約金は12年総額で3億2500万米ドル（約460億円）。投手の契約金としてはメジャーリーグ過去最高額に。

【オーバードーズ対策】市販薬の販売ルールを強化する方針示す、厚労省

2025年度までに薬機法を改正し、ドラッグストアなどで購入できる市販薬の販売ルールを強化。20歳未満の人の市販薬の購入に際して、本人確認の徹底や薬剤師による購入目的の確認、販売記録の保存など義務付ける方向で調整進む。

新宿・歌舞伎町に集う若者（いわゆる”トー横キッズ”）など市販薬の大量摂取で病院に搬送されるケースが相次いでおり、政府としても本格対策に乗り出し。

旧統一教会の解散に向けた「被害者救済法」が成立

解散命令請求が出された宗教団体を対象に資産売却時の事前告知義務を課す。また、財産状況の3カ月ごとの報告も義務付ける。旧統一教会を狙い撃ちした法案で与野党ともに賛成票を投じた。被害者に対する賠償原資が海外の旧統一教会団体に還流されるのを防ぐ狙い。

米国で日本映画が相次ぎヒット、『ゴジラ-1.0』『君たちはどう生きるか』

新作ゴジラ映画『ゴジラ-1.0』が全米週末興収ランキングで初登場3位にランクイン。興行収入は40億円を超えた。また、宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』も米国で公開開始。映画興行ランキングで初登場1位に輝いた。北米市場でジブリ映画が興行1位になったのは史上初。

いずれも映画配給会社・東宝のアメリカ子会社が独自配給。日本映画ながら全米2000を超す劇場を確保。現地のハリウッド映画と比べても遜色ない公開規模になった。