2010年代の国際・海外ニュースをダイジェストで振り返る(2010年〜2019年まで)

     
  • 公開日:2020.1.9
  •          
  • 更新日:2023.1.4
2010年代の国際・海外ニュースをダイジェストで振り返る(2010年〜2019年まで)
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2010年代に話題になった国際・海外ニュースを振り返り。

中国の台頭、格差社会、環境問題機運などなど2010年代を代表するテーマに絞って国際・海外ニュースをピックアップしました。

2010年代の世界情勢を大まかにチェックするのに活用ください。

※注記ない限り「首相」「大統領」などの肩書はニュース当時のものを掲載しています

目次

2010年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

【欧州】ギリシャ経済危機が一転してユーロ危機に

出典:Steve Swayne, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

ギリシャで政権交代。これに伴いギリシャ政府の財政赤字隠しが発覚した。赤字はGDP比4%としていたが、実際には同13%であり、国家レベルの粉飾決算と批判が。EU関連の金融機関がギリシャに融資しており、ギリシャの債務不履行がユーロ危機につながるとしてEUが対策に追われた。

ギリシャはEU・IMFから40兆円近い金融支援を受ける代わりに徹底した緊縮財政政策を実施。ネックだった公的医療費は従来比で半分近くに削減され、保険医療制度がほぼ形骸化した。財政破綻の危機こそ回避したが、信用不安によりギリシャ投資は減少。景気停滞からギリシャの失業率は10%前後から20%超に跳ね上がった。

 

【中国】チャイナマネーが世界経済を席巻、リーマンショック以後の世界のリーダーに

リーマンショック(2008)に伴う世界的な景気減速の中、中国政府が4兆元(日本円で当時57兆円)の異次元の財政出動を行い、世界経済の立ち直りに寄与した。同財政出動の余波としてカネ余りが顕著に。中国国内で不動産バブルが発生したほか、中国企業による海外企業の買収や海外インフラ投資など”チャイナマネー”と形容される爆買いが起きた。

これまで中国は「世界の工場」と有望な投資先としての立ち位置だったが、逆に中国が他国に投資する時代を迎えた。中国の国際的な影響力も増加。かつての米ソ対立に続く、アメリカと中国による2極対立が言われるまでに。

 

【アジア】尖閣事件で日中の領土問題が広く知られるように

出典:内閣官房 尖閣諸島|内閣官房 領土・主権対策企画調整室

尖閣諸島付近を航行していた海上自衛隊の船舶に対して中国漁船が突撃してきた尖閣事件。中国漁船の船長が日本当局側に逮捕されたが、日中関係の対立エスカレートを防ぐために船長を起訴せず保釈する展開となり、日本国内で批判が巻き起こった。

尖閣諸島の存在、海洋進出を目指す中国の政府計画など日本国内外で広く知られるようになった。また、南シナ海でも中国が領有権を主張して周辺国と対立。米軍が「航行の自由」作戦として米駆逐艦を派遣・航行させるなど米中対立の新たな火種に。

 

【米国】ウィキリークスによる米軍の戦争犯罪リーク続く

出典:ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争|Amazon

「ウィキリークス」と呼ばれる匿名の内部告発サイト(ウェブサイト)が知られるようになった一連の騒動。イラク戦争およびイラク駐留米軍の犯罪情報を相次ぎリーク。米軍ヘリコプターが民間人を銃撃する動画や外交機密文書をインターネット上で一般公開し、アメリカ政府と全面対立した。

ウィキリークスによる機密文書の公開是非めぐりインターネット時代のジャーナリズム論争を巻き起こした。ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ氏は後に逮捕され、2020年現在なお法廷闘争の渦中に。

 

そのほか2010年はこんなことがありました

  • 中国のGDPが日本超え世界2位に、日本の2位陥落は42年ぶり
  • 【チリ】鉱山落盤事故で33人救出、世界的な支援の輪(コピアポ鉱山落盤事故)
  • 【中国】ノーベル平和賞に中国の民主活動家、劉暁波氏

 

 

2011年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

【中東】アラブの春で独裁政権が相次ぎ倒れる

出典:TIME Magazine Cover

中東・アフリカ各国に伝播した民主化運動こと「アラブの春」。チュニジアから始まり、エジプト、ヨルダン、リビアなどで数十年レベルで続いた独裁政権が崩壊した。facebookはじめとしたインターネットサービスで市民ら連携。従来のマスコミ・インフラのように政府が統制できないインターネットの強みが活かされ、新時代の幕開けと宣伝された。

特にリビアでの民主化運動ないし内戦が熾烈を極めた。カダフィ大佐による42年間の独裁政権が続いていたリビアでは、カダフィ政権と反カダフィ勢力による内戦が勃発。反カダフィ勢力にNATOが軍事協力したことで事実上カダフィ政権が崩壊。カダフィ大佐は逃走最中に死亡したが、その死因めぐり様々な憶測が流れた。

 

【米国】99%デモ(ウォール街を占拠せよ)

出典:Mike Fleshman, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

経済格差の是正デモとして米ウォール街で起きたデモ。リーマンショック(2008)後の世界的な景気不安の中、アメリカ政府が景気対策として金融機関に資金投入。リーマンショックを引き起こした金融関係者がなお高い賃金を受け取り、景気不安で割を食った一般労働者が不況にあえぐ現状に不満が爆発した。

デモのスローガンとして“We are the 99%” が掲げられた。社会の1%の人間が富の99%を所有し、残る99%の人間が富の1%を分ける社会の不平等を指す。

 

【日本】311原発事故、世界的な脱原発の世論高まる

出典:IAEA ImagebankCC BY 2.0, via Wikimedia Commons

地球温暖化を救うクリーンエネルギーとして注目を集めていた原子力発電だが、311原発事故を受けて世界的な脱原発の世論が巻き起こった。当時日本の原発は「安全神話」言われる世界でもトップクラスの安全基準で運営されてきたが、その日本で原発事故が起きたことで脱原発に拍車がかかった。

 

【米国】Appleがアメリカの一企業から世界的企業に

iPhoneで知られるApple。2000年前後に倒産危機にあったが、創業者であるスティーブ・ジョブズ氏のCEO再就任に伴い、奇跡的と言える復活を果たした。音楽プレーヤー「iPod」が世界的なヒット商品に。iPodを拡張する形でiPhone誕生。2010年に発売した「iPhone 4」は世界で100万台を売り上げ、Appleの完全復活を決定づけた。

2011年には株式時価総額で米国1位に輝く。今では世界的な影響力を持つ米国の4大IT企業「GAFA」の一角として知られる。

 

そのほか2011年はこんなことがありました

  • 【911テロ】アルカイダの事実上トップ・ビンラディン容疑者を米軍が殺害
  • 【英国】イングランド暴動で逮捕者2000人超、SNSの普及で暴動の規模拡大
  • 【ロンドン五輪】日本男子サッカーがW杯で過去最高の4位
  • 【タイ】大規模な洪水・浸水で日系企業ら操業停止に追い込まれる
  • ミャンマーが軍事政権国家から半民主化、スー・チー氏が事実上のトップに
  • 世界人口が70億人を突破

 

 

2012年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

シリア内戦が泥沼化

出典:Kremlin.ru, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

アラブの春に伴う民主化運動が起きたシリア。シリアはアサド大統領をトップとした独裁政権国家。民主派勢力の勢い一転、シリア政府の徹底抗戦で対立泥沼化した。シリアはロシアと関係の深い国とあり、民主派勢力vs政府の対立構図がさながら米露の代理戦争の様相に。

内戦がきっかけでシリアから脱出した市民、いわゆるシリア難民の受け入れめぐりヨーロッパで議論を呼んだ。シリア難民は約600万人超と推定される(シリアの人口は2010年前後に2000万人ほど)。

対立最中にできたシリアの空白地帯にはIS(イスラム国)はじめとしたイスラム武装勢力が台頭。イスラム武装勢力の中にはシリア政府の打倒を訴える一派もおり、シリア内戦の利害関係がさらに複雑化。ただ、西側諸国がイスラム武装勢力の軍事掃討に乗り出し。シリア政府も勢いを盛り返した。シリアは2020年現在もアサド大統領による独裁政権が続く。

 

【中国】日中国交正常化以降で最大規模となる反日デモ

日本政府による尖閣諸島の買収に伴う大規模な反日デモが発生。日系スーパーや日本車の破壊行為が相次いだ。北京では丹羽宇一郎駐中国大使(当時)の公用車が襲われた。

中国ではデモが共産党の管理下にあるが、今回は中国の最高指導部らデモを黙認。尖閣諸島の買収に対する抗議の意思を国内外にアピールした。

 

【北朝鮮】金正日キム・ジョンイル総書記が亡くなる、後継に金正恩

出典:Ентусиастъ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

1994年〜2011年まで北朝鮮の最高指導者を務めた金正日氏。2011年12月に病死。後継には3男の金正恩氏が選ばれた。

金正恩氏は当時まだ28歳で指導力不足が指摘されたが、一転して父親勝りのカリスマ発揮。噂された北朝鮮国内でのクーデターなども起きず、アメリカや中国相手にバランス外交を展開する政治手腕を見せた。

 

そのほか2012年はこんなことがありました

  • 【マヤ文明】2012年世界終末説、未遂に終わる
  • 【米国】オバマ大統領が再選
  • 【韓国】新大統領に朴槿恵氏、朴正煕元大統領の娘

 

 

2013年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

アルジェリア人質事件、日本人10人を含む37人が死亡

イスラム系の武装集団がエネルギー関連施設を襲撃した事件。施設で働いていた200人近くが人質に取られ、日本人も10人が拘束された。日本政府は人質全員の救出をアルジェリア政府に訴えていたが、一転しての軍隊投入で銃撃戦になり、人質に取られていた日本人全員が亡くなった。

 

【米国】CIA元職員・スノーデン氏が米国による諜報監視の実態を告発

出典:Edward Snowden, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

CIA元職員のエドワード・スノーデン氏がアメリカ政府による世界的な諜報活動の実態を内部告発。アメリカ国家安全保障局(NSA)がアメリカのIT企業を通じて個人情報を収集・監視するプログラム「PRISM」を運用していることを明らかにした。日本も諜報活動の対象国であると指摘しており、日本国内でも発言が大きく取り上げられた。

スノーデン氏は内部告発でアメリカ政府と全面対立する形になり、のちにロシアに亡命した。

 

【格差社会】トマ・ピケティ『21世紀の資本』が世界的ベストセラーに

出典:21世紀の資本|Amazonプライムビデオ

フランスの経済学者、トマ・ピケティが著した『21世紀の資本』。経済成長により経済格差が拡大することを証明。過去200年の各国の経済成長率と投資による資本収益率を比較し、資本収益率が経済成長率(賃金上昇率)を常に上回ることを「r > g」で数式化した。

これまで経済成長により労働賃金が向上し、経済格差が緩和されると言われてきた。ただ、経済成長それ相応に資本家の投資収益が向上するため、経済成長によって経済格差がより拡大していると指摘した。

著書では経済格差の緩和のためには収入や投資利益に対する課税ではなく、投資資本そのものに課税すべきだと話を締めた。

 

そのほか2013年はこんなことがありました

  • 【米史上初】米国政府がデフォルト危機、党派対立で債務上限の引き上げ議論進まず
  • 【中国】PM2.5が日本まで飛来
  • 【米国】ボストン・マラソンで爆弾テロ事件
  • ロシアに隕石落下、衝撃波で窓ガラスなど割れ1500人が負傷

 

 

2014年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

ISが国家樹立を宣言

アラブの春を受け政情不安化した中東地域。特に内戦が泥沼化したシリア国内でイスラム系の武装集団の活動が活発化。2014年には武装集団の1つである”IS”(ISIL)がイスラム国の建国を宣言した。

カリフ制による政治運営、指導部による生活インフラ(公共インフラ)の提供など国家っぽい社会統治を開始。ただ、他国からの国家承認は1件も得られず。米国はじめとした西側諸国がIS壊滅に向けて軍事攻撃を拡大したことで2020年時点で事実上崩壊した。

ISはSNSを駆使して外国人の戦闘員を募った。世界110か国出身の延べ4万人以上がイスラム国に渡航したとみられる(公安調査庁調べ)。日本でもイスラム国に渡航しようとした大学生が事情聴取を受けるなど社会の関心事に。また、世界各地でIS戦闘員や信奉者によるテロ活動も相次いだ。

 

ロシアがクリミア併合

ウクライナ南部のクリミア半島をロシアが併合。もともとクリミア半島は「クリミア自治共和国」としてウクライナの事実上の統治下にあった。ただ、2014年にウクライナの親露政権が崩壊。欧米寄りの政権に移行したことでクリミア半島の親露派勢力が独立を宣言した。およびロシア編入を住民投票で決め、ロシアに事実上併合された。ロシアによる政治工作と西側諸国は批判。経済制裁による応酬が始まった。

また、ロシア系の住民が多いウクライナ東部地域でも独立を求める動き。武力攻撃を用いる内乱状態となり、国連統計で4000人以上の市民が死亡したとみられる。同年12月に一応の停戦となった。

 

イスラエルがガザ侵攻、第四次中東戦争(1973)以来で最大規模

パレスチナ自治政府が統治するガザ地区側から100発のミサイルがイスラエル側に発射されたことを受け、対抗措置としてイスラエルが軍事侵攻。軍事侵攻は7週間近く続き、死者は第四次中東戦争(1973)以来で最大となる2,000人超と推定される。イスラエルを全面バックアップするアメリカの影響力もあり、国連ではなくエジプトの仲介でとりあえずの停戦が成立した。

 

【韓国】セウォル号沈没事故で学生ら299人が死亡

韓国の大型旅客船が転覆・沈没。修学旅行中の学生ら299人が死亡した。船長が我先に船から逃げ出し非難の的に。後に船長が殺人罪で起訴され、無期懲役判決が出た。

 

そのほか2014年はこんなことがありました

  • 【パキスタン】マララさんにノーベル平和賞
  • 【ナイジェリア】女子学生ら276人がイスラム武装勢力に誘拐される事件発生
  • エボラ出血熱でWHOが非常事態宣言
  • 【239人が搭乗】マレーシア航空便が消息不明に、インド洋に墜落したと推定される
  • 【日本】安倍首相が現役首相として7年ぶりに靖国参拝

 

 

2015年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

【ISテロ】パリ同時多発テロで130人亡くなる

出典:John Englart from Fawkner, Australia, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

IS(イスラム国)戦闘員らパリ各地で同時多発テロ。銃撃や爆撃で死者130人、負傷者は300人を超えた。フランス政府が国家非常事態宣言を発令。対抗措置としてシリアのIS拠点に軍事攻撃を行った。フランス世論が対ISで一致する中、同時に民間レベルではイスラム系住民に対するヘイト行為が見られるように。

 

MERSコロナウイルスが小規模流行、韓国で感染拡大で日本も対策追われる

出典:Phoenix7777, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

中東呼吸器症候群ことMERSコロナウイルス。中東地域で小規模流行。WHOによる緊急事態宣言こそ出なかったが、韓国で集団感染が起きたことで日本含む周辺国が対策に追われた。韓国で当初2015年7月に終息宣言が出たが、その後も感染者が増加。2015年12月にようやく終息した。

 

「パリ協定」採択、ほぼすべての国を対象とした史上初の環境対策目標に

京都議定書の後継として締結された「パリ協定」。世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度以内に抑えることを明文化。および各国が採択・批准した。温室効果ガスの2大排出国であるアメリカと中国がいずれも批准したことで注目を集めた。ただ、アメリカはトランプ大統領の就任に伴い協定から離脱した。

従来の京都議定書は一部の国(当時の先進国)のみを対象とした枠組みだったが、パリ協定は世界187の国と地域を対象とする史上初の地球規模の枠組みに。

 

【国連】持続可能な開発目標(SDGs)策定

2015年の国連総会で採択された持続可能な開発のための17の国際目標「SGDs」。従来のミレニアム開発目標に続く2030年までの国際目標として位置づけられる。日本ではそこまで知られていなかったが、もっぱら2019年のグレタ・トゥーンベリ氏の気候変動デモのころからメディアで取り上げられるように。

 

そのほか2015年はこんなことがありました

  • 中国主導「アジアインフラ投資銀行」設立、日米主導の「アジア開発銀行」に対抗
  • 南シナ海で米中対立が強まる、中国が領有権を主張、対して米軍は「航行の自由作戦」決行
  • 米国とキューバが54年ぶりに国交回復
  • 米国ら6カ国がイランとの間で「イラン核合意」締結

 

 

2016年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

米国が「世界の警察」から卒業(卒業間近)

出典:Official White House Photo by Pete Souza, Public domain, via Wikimedia Commons

かつての政治的・軍事的な影響力に陰りが見え始めたアメリカ。シリア内戦が激化する一方、軍事介入で二の足を踏み、IS(イスラム国)の台頭を許したことから「世界の警察」言わしめたアメリカ時代の転換点が言われるように。

もともと2013年に(当時の)オバマ米大統領が「米国は世界の警察官ではない」と発言し、シリア内戦への積極関与を否定。リーマンショック後の景気不安の中で軍事予算の捻出が難しくなったほか、2001年9月11日以降、約20年続けてきた対テロ戦争で1000兆円近くの天文学的な予算を投入。一方では予算に見合った成果が得られず、軍事介入した国の民主化も進まず、今日なおテロや紛争に巻き込まれている現状から「世界の警察」をやれるだけの余裕がなくなった。

オバマ大統領に続くトランプ大統領は自国ファースト、アメリカの経済を最優先する方針に切り替え。日本含む同盟国には米軍駐留経費の増額、安全保障政策の自国負担の割合増加など求めた。

 

【パナマ文書】富裕層の課税逃れの実態が明らかに

パナマの法律事務所から流出した顧客リストこと「パナマ文書」が世界的に報じられた。租税回避のための21万企業の実態が明らかに。富裕層ほか、なかには政治家や著名人らが租税回避を活用して税負担を回避・軽減するケースもあった。

リストに名前があったアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれた。また、キャメロン英首相の父親の名前がリストにあり、キャメロン英首相が釈明に追われた。リストの中には日本人と思われる名前も700人ほどあった。

租税回避を活用して税負担から逃れる高額所得者・富裕層の存在が公になる一方、法の支配とグローバル化が進む現代社会ならではの半合法的な節税ライフハックの側面もあり、対策は困難を極める。

 

Apple、Googleら巨大テック企業に対する風当たり強まる

出典:超図解 世界最強4大企業GAFA 「強さの秘密」が1時間でわかる本(Amazon)

スマホの普及による際限なき個人情報の収集でAppleやGoogleら大手テック企業が批判の的に。個人情報を活用したサービスのパーソナライズ化でユーザーに恩恵を与える一方、どこまでも付いてくる情報トラッキングに対する不安や嫌悪が言われるように。

また、収集した個人情報の取り扱いめぐりプライバシー論争に発展。EUでは収集した個人情報をEU圏外に持ち出すことを禁じる法律「GDPR」が成立。日本でも同様の法規制が作られた。

Appleに関しては課税逃れ疑惑でもやり玉に。アメリカ国外で得た収益を税負担の低いアイスランドの子会社に移動させ、課税逃れしていた疑い。各国ともに「デジタル課税」の創設によってAppleはじめとした大手テック企業から別途の課税を求めたい考え。

 

【イギリス】国民投票でEU離脱を決定

出典:ChiralJon, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

イギリスはEUの主要国として巨額の資金を拠出する一方、自国市場のEU開放に伴う経済的なデメリットが目立つように。また、大陸側からの際限なき移民受け入れに反発も起きた。

2016年、世論に押される形で当時のキャメロン首相がEU離脱を問う国民投票を実施。投票結果は離脱51.89%、残留48.11%でEU離脱が決定した。イングランド地域に限るとロンドン(グレーター・ロンドン)以外のすべての行政区画で離脱派が多数を占めており、金融関係者はじめとした富裕層からしかEU残留の支持が得られなかった。

2020年、ジョンソン首相時代に正式にEU離脱を果たした。

 

そのほか2016年はこんなことがありました

  • オバマ米大統領がキューバ訪問、現職大統領のキューバ訪問は88年ぶり
  • 【韓国】朴槿恵大統領が弾劾される
  • 北朝鮮が2度にわたり核実験、初の水爆実験とみられる

 

 

2017年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

【米国】ドナルド・トランプ氏が大統領就任

出典:ホワイトハウス公式facebook

共和党の泡末候補から一転、アメリカ大統領選でまさかの当選を果たしたトランプ米大統領。2017年1月に大統領に就任。就任から相次ぎ大統領令にサイン。日米間で合意していた「TPP」(環太平洋連携協定)や気候変動対策「パリ協定」からの離脱を表明し、各国が対応に追われた。

いざ大統領に選ばれるとは思われていなかったトランプ大統領が誕生したことで、アメリカ社会の分断が強く言われるように。リーマンショック後の景気対策の中で経済格差、および社会格差が色濃くなり、トランプ大統領フィーバーにつながったとの見方も。

 

中国企業の世界的な躍進続く、ファーウェイはスマホシェアでApple抜く

出典:N509FZ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

中国の通信機器メーカー大手・ファーウェイが世界的企業に成長。従来の中国企業とは異なり中国国外でも売り上げを伸ばした。2018年にはスマホ市場シェアでAppleを抜き世界2位に。もともとの強みであったコストパフォーマンスに加え、独ライカとコラボした製品を展開するなどブランディングの面でも従来の中国企業とは思えぬ進化を見せた。

中国の3大IT企業である「百度(バイドゥ)」「阿里巴巴集団(アリババ )」「騰訊(テンセント)」にも注目が集まる。中国国内市場で信用スコアはじめとした先進的、はたまたディストピア的なITサービスを世界に先駆けて展開して話題さらった。

 

#metoo運動が加熱

もっぱら欧米社会で女優らセクハラ告発する運動が流行。ハリウッドの大御所プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタイン氏に対するセクハラ告発(&刑事訴訟)から盛り上がり。ハリウッド著名人や経営幹部らのセクハラが相次ぎ露呈され、当該人物が謝罪や休職、あるいは業界引退に追い込まれた。

フランスでは #BalanceTonPorc(豚を告発せよ)運動にも発展。法の支配に対する意識が強い西側諸国において、訴訟では解決できぬ(立証できぬ)セクハラ問題を私刑や社会的制裁で解決する手法に賛否が集まった。

 

そのほか2017年はこんなことがありました

  • 【米国】ロシア疑惑でトランプ大統領の元側近ら相次ぎ逮捕&司法取引
  • 【韓国】パク・クネ大統領を弾劾、新大統領にムン・ジェイン氏
  • 【マレーシア】金正男氏が暗殺される、金正恩総書記の兄
  • 【ミャンマー】ロヒンギャ問題が深刻化、沈黙続けるスー・チー氏に批判が高まる

 

 

2018年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

史上初の米朝首脳会談

出典:The White House from Washington, DC, Public domain, via Wikimedia Commons

朝鮮半島の分断後で初の米朝首脳会談。具体的な取り決めはなかったが、将来的な朝鮮半島の非核化に向けての取り組む姿勢を確認した。ただ、2019年2月に開催された2度目の米朝首脳会談でも合意らしい合意なく、早くも関係決裂が指摘される。

 

【朝鮮半島】11年ぶり南北首脳会談

朝鮮半島の非核化を目指す「板門店宣言」を発表。11年ぶりとなる南北首脳会談に花を添えた。金正恩委員長が条件付きでの核放棄を言明するなど従来の強硬路線を一転。異例の融和姿勢を見せた。

もともと平昌五輪(2018年2月)に向けて北朝鮮の要人ら続々訪韓。韓国との友好ムードを演出した。平昌五輪には、金永南キム・ヨンナム最高人民会議常任委員長、金委員長の妹である金与正キム・ヨジュン氏らも姿を見せた。

 

米中貿易戦争が本格化、ファーウェイも締め出し

中国に強硬路線を取る米トランプ政権が、中国向けの家電や部品素材に追加関税を発動。これに対抗して中国政府がアメリカの農産物などに追加関税。”貿易戦争”と形容される追加関税の応酬が始まった。

2019年にはアメリカ政府が中国ファーウェイを事実上追放。安全保障上の問題として米国企業の取引を禁じる大統領令を出した。(当時)世界スマホシェア2位にあったファーウェイだが、米GoogleからOSなど調達できなくなり、スマホの販売停止に追い込まれた。

また、中国のIT企業が運営するSNS「TikTok」も米国の安全保障上のリスクとしてやり玉に挙げられた。個人情報保護を重視する時代や世論に加え、中国政府が成立させた国家情報法による中国当局への情報漏えいリスクがネックになった。

 

そのほか2018年はこんなことがありました

  • フランス全土で大規模デモ「黄色いベスト運動」
  • 英天才科学者、スティーブン・ホーキング博士が死去
  • 【ドイツ】メルケル首相が引退、首相在任16年の長期政権
  • 【サウジアラビア】記者殺害に皇太子が関与した疑い
  • タイの洞窟に少年ら閉じ込め、世界的な支援広がる

 

 

2019年に話題になった国際・海外ニュースを振り返る

香港で大規模デモ、「逃亡条例犯」改正案めぐり反発

出典:Studio Incendo – 20190825 Tsuen Wan March 荃葵青遊行反送中遊行, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=81751531

外国人を含めた刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡条例犯」改正案。香港政府が審議開始したことから抗議活動が拡大。最終的に香港政府が審議撤回、法案撤回に追い込まれた。

デモをきっかけに普通選挙など求める民主化運動に発展。抗議団体が香港政府に「五大要求」の受け入れを求めた。アメリカ政府が「香港人権法」を成立させるなど支援したが、中国政府がデモ鎮圧に乗り出したことで一転。

2020年6月には中国政府が「香港国家安全維持法」を成立させ、合法的に香港での取り締まりを可能にした。デモは事実上瓦解。香港返還後50年は維持されるはずだった一国二制度の形骸化も指摘される。

 

【地球温暖化対策スト】16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリ氏に脚光

プラスチックごみの海洋流出が世界的な課題に。また、世界7割のプラスチックごみを受け入れていた中国がごみ輸入を停止、日本含めて余波が広がった。各国ともに脱プラスチックを掲げる中、日本もレジ袋の有料化を決定するなど対策に追われた。

同年に行われた国連気候変動サミットで演説した16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリ氏にも注目が集まる。気候変動危機を訴えたほか若者による環境対策デモを率いた。

 

ブラックホールを世界初観測

出典:イベントホライズンテレスコープ – https://www.eso.org/public/images/eso1907a/; JPG saved from full size TIFF and converted with maximum quality level 12 in Photoshop 2019., CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=77916527

日米欧チームが共同実施。ブラックホール周辺のガスが発する電波を観測し、ブラックホールの大まかな形を浮かび上がらせた(上記写真の中央の丸い部分がブラックホール)。ブラックホールは電波おろか光すら吸収されるため、直接的に観測するのが難しく、これまで存在のみが認知される状態に留まっていた。

 

そのほか2019年はこんなことがありました

  • 【フランス】ノートルダム寺院が焼失
  • 【台湾】同性婚認める特別法案可決、アジア地域で初
  • 中村哲さん銃撃され死亡、30年にわたりアフガニスタン支援
  • 【女子テニス】大坂なおみが日本人初の世界ランク1位に

 

 

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